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認知プロセスー本当に自分のことは自分でわかるのか?-

こんにちは。えびです。

今日は認知科学の本を読んでいて面白いトピックがあったので、その一部をまとめたいと思います。

なかなか面白く新鮮な切り口を楽しめると思うので、参考にしてください。

 

認知科学

 

昨今、隆盛著しい分野である認知科学。

心理学やロボット工学、脳科学、神経学、生態学など複合・関連している分野を挙げると枚挙に暇がありません。

認知科学の特徴として、その学際性の高さが挙げられます。

学際的な学問とは、色々な分野における研究者が協力して互いに影響を与えながら、その研究を推し進めている、ということです。

わかりやすい例としては、認知科学に大きな影響を受け、また影響を及ぼしている分野にコンピュータサイエンス分野の研究があります。

最近ホットな話題として挙げられることが多い、AI、人工知能、ロボット科学などがこの分野に属しています。

 

僕が読んでいる本の一節をお借りすると、

 

認知科学は学際領域である。さまざまな専門分野の人たちが集まり、知的システムの構造、機能、発生を研究している

 

とまとめることが出来ます。

そしてさらにもっと簡略化すると、

 

知性とは何かを議論しているのが認知科学である

 

ということができます。

認知科学を取り巻く常識という枠組みで、私たちがよく言葉にするいくつかの誤った認識を挙げています。

具体的には主だったものとして3つ挙げているのですが、今回の記事ではそのうちの一つを取り上げました。

 

自分の認知プロセス

 

よくこういう言葉を発する人を見かけたり、あるいは昔自分がこんな風に思っていた、という記憶がある人は多いのではないでしょうか。

 

「自分のことは自分が一番わかります」

 

この認識に反論されることに抵抗を感じる人は多いでしょう。

しかし、本でも実際に書かれている質問によって簡単に却下されることが分かります。

では、次の質問を考えてみてください。

 

「あなたは、奥行きを感じているはずですが、どうやって奥行きを感じたかを説明してください。」

「boyの日本語は何かを思い出してください。思い出したらどのようにしてそれを思い出したかを説明してください。」

 

この質問に対して明確な答えを返せる人はとても少ないと思います。

要するに、僕たちは

 

自分の認知プロセスを内省することはできない

 

と結論付けることができます。

次にもっとわかりやすい例を出します。

 

認知プロセスに関する実験例

 

今度は、実施に行われた実験の中から、僕たちがいかにして自分の認知プロセスを把握できていないかが分かるものを取り上げます。

 

実験1

 

同じメーカーの同じ女性用のストッキングを4つ参加者の前に並べます。そして、参加者にはそのストッキングをあたかも別製品であるかのように説明し、どのストッキングが良いかを決めてもらう、という実験です。

ただし、ストッキングの順番は毎回入れ替えてから行いました。

 

すべて同じものですから、選ばれる確率は均等に25%ずつになるはずです。

しかし、実際の結果は大きく異なるものになりました。

最初の2つのどちらかを選んだ人の割合は、全体の30%未満で、残りの70%以上の人は後の2つのどちらかを選んだのです。

さらに興味深いことがありました。

それは、選んだ理由です。

 

選び終わった参加者の人にその理由を尋ねると、

 

「3番目のものは肌触りが良いから。」

「四番目のストッキングは軽い感じがしました。」

 

などという回答で、順番を理由にする人はいませんでした。

 

実験2

 

もっと僕たちが物事の認知をいい加減にしているかを指し示す実験があります。

次のものです。

 

参加者に二人の女性の顔写真を見せ、どちらの女性が好みか選んでもらい、その写真を直後にもう一度見せて選んだ理由を尋ねます。

しかし、たまに選んでいない方の女性の顔写真を見せて、選んだ理由を尋ねるというものでした。

 

直前に選んだ女性の顔を間違えるはずがない、と直感的に思う人がほとんどでしょう。

しかし、実際の結果はまたしても、予想と異なりました。

 

この顔写真の入れ替えに気づく人は、なんとわずか13%ほどの人しかいませんでした。

まさか、みんな気づきながらも適当にはくぐらかしていたのでは?と考える人もいるはずです。

しかし、これが本当に気づいていないと裏付ける事象があります。

というのは、顔写真の入れ替えに気づかなかった人たちは、自分がその女性を選んだ理由をきちんと答えたのです。

 

上記の例からわかること

 

これらの例からわかるように、多くの場合で僕たちが何かを選択して、その理由を尋ねられた際の答えは、その場の思い付きであることが多い、という洞察を得られます。

要するに

 

僕たちは自分のことを自分で理解しているつもりでも、真にその認知プロセスを理解してはいない

 

といえます。

視覚や超かっくに関する認知プロセスを内省できず、言葉にもできないうえに、より高度な行為である判断や決定についても自分が導き出した答えについても本当の理由がわからないのです。

だからこそ、こういった事実が明らかになってきた最近では、脳科学や認知科学、メンタリズムといった分野が人気になっているのかもしれません。

一部の研究者の間では常識となっていたことが、大衆化されてより身近なものになってきた表れととらえることができます。

 

文責:えび

 

参考文献

鈴木宏昭(2016)『教養としての認知科学』東京大学出版会

 

 

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