1. トップ
  2. 経済・金融
  3. 行動経済学ーコンコルドの誤謬ー
このエントリーをはてなブックマークに追加

行動経済学ーコンコルドの誤謬ー

こんにちは。えびです。

最近は暖かくなってきて、外に出かけるのも気持ちがいいですね。

いつか外でベンチに座りながら読書なんかを楽しみたいなぁと感じています。

 

というわけで、話を戻すと4月、新生活をスタートする人が多い季節になりました。

新しい学年になったり、新しい企業に勤めたりと日々の変化から自身のライフスタイルも大なり小なり変わる、なんて話を聞くことが多いです。

今回のテーマは、そんな新生活を始める人にとっても非常に有益な内容です。

というのも、この記事のテーマである「コンコルドの誤謬」というのは僕たちが自分たちの行動を決める際に見られる傾向について表しているからです。

なるほど!と思いながら読み進めてください。

 

コンコルドの誤謬

 

まず、最初になぜこんな名前がついているのか気になると思います。

何かの法則を見た時、僕たちは発見した人の名前かな?と疑うことが多いと思いますが、今回は違います。

「コンコルド」とは人名ではなく、航空機の名前です。

それもジェット機です!

フランスとイギリスが共同開発した超音速旅客機の名前です。

この超音速旅客機は、大量生産後に商用ベースで利用されることを目的として開発プロジェクトが開始していたのですが、開発途中から技術的側面や騒音問題などにより完成したとしても採算が取れないことが判明しました。

しかし、それまでに行っていた投資額が膨大であったために今更やめることはできない、と判断されてさらに巨額をつぎ込み開発が継続され、商用化までこぎつけました。

ですが、予想通り運用後も採算が取れずに巨額の運行赤字を計上し続け、2000年のパリの航空事故を起こしたことから2003年に完全撤退しました。

 

以上の話しが元のネタになっているのが、コンコルドの誤謬です。

 

コンコルドの誤謬とは

 

上記の話を読んでいただければ、ある程度は察してもらえるかもしれません。

コンコルドの誤謬とは、

 

過去の投資が、将来の事業の成否を無視して、将来の投資を左右する現象

 

のことを言います。

この投資とは、お金に限ったものではありません。

例えば、時間やエネルギー、犠牲にしたものなども含みます。

また、これらの資源を経済学では、「サンクコスト」と呼ぶので、コンコルドの誤謬は「サンクコストの過大視」とも言われます。

 

『せっかくこんなに時間をかけたんだから…』、『こんなに頑張ったことだし…』、『もうお金を払っちゃったからなぁ…』などなど僕たちの生活の中でよく耳にする言葉で現れてきます。

しかし、一歩引いて客観的に考えると、こういった思考に捕らわれてしまうことは、非合理的だとわかるはずです。

例を出しながら考えてみましょう。

 

行きたいところに行くのと、行きたくないところに行くのとでは、どちらに多くのお金をかけてもいいですか?

 

この表題はモッテルリーニ著の本の問いで使われていたもので、まさにぴったりだったのでそのまま拝借しました。

本のタイトルなどは参考文献表に載せています。

では、自分ならどちらを選ぶか考えてください。

 

 

問1:スキースクールに行く予約をしました。あなたは、すでに前払い金として数千円払っています。

しかし、スクール当日は気温がとても低く、強風と雪で吹雪になっていました。家から一歩も出たくないのに、もうすでにお金は支払ってしまっています。さて、どうしますか?

A:スキーに行く。

B:暖かい家の中でまったり過ごす。

 

問2:問1と状況はほぼ一緒です。しかし、スキースクールが前金制ではなく、スクール参加後に支払う制度でキャンセル料も無料です。さて、どうしますか?

A:スキーに行く。

B:暖かい家の中でまったり過ごす。

 

 

おそらく、多くの人が問1の場合では、『スキーに行く』と答えるのに対して、問2の場合だと『家で過ごす』と答えたと思います。

前金として数千円払ってしまったということに引きずられて、移動費や時間など更なる資源を使いこもうとしてしまうのです。

冷静に考えてみるとどちらの場合も当日の状況は変わりません。

すでに払ってしまったお金は返ってこないのですから。そうであれば、合理的な判断をしようとすると暖かい家の中で他の楽しいことをしながら有意義な一日を過ごす、という行動を取るはずです。

 

では、もう一つ質問を増やすと、また別の見方が生まれます。

 

 

問3:気温も低く、外は強風と雪でひどい吹雪になっています。あなたはそんなひどい状況で外を歩いていて疲労と寒さから、今すぐにでも暖かい建物に入り、スープを飲みながら吹雪が止むのを待ちたい気分でした。

すると、目の前にホテルが見えました。フリータイムの休憩が数千円です。さて、どうしますか?

A:外にいる。

B:ホテルで休憩しながら温まる。

 

 

問一との違いは、もともと家の中にいるか、外にいるかの違いです。

こう考えると、数千円を払ってでも家の中にいることが合理的だと納得できます。

サンクコストや過去の投資には目をつぶって考えることが賢明な判断につながると言えます。

 

ハル・アークスとキャサリン・ブリュマーの実験

 

次は実際に行った調査で見られた差異を挙げます。

皆さんも自分ならどうするか答えてみましょう。

 

 

ある飛行機会社の社長が、従来のレーダーではキャッチできないほど速い飛行機をつくろうと、1000万ユーロ(約12億円)を注ぎ込んだ。ところがそのプロジェクトがすでに目標を90%達成した時、スピードも経済性もさらに高い同種の飛行機を、他者がすでに市場に出したというニュースが飛び込んできた。ここで次の選択をしてください。

あなたがこの飛行機会社の社長だとして、プロジェクトを完遂するために残りの10%を投資するか否か?

 

 

この質問に対しておよそ85%の人が「イエス」と答えました。

みなさんはどうですか?

では、次に質問の仕方を少し変えてみると結果はどうなるでしょうか。

 

 

ライバル会社の飛行機には明らかに劣る飛行機を仕上げるために、あと100万ユーロ(約1億2000万円)の追加投資を決断しますか?

 

 

こういった形で質問された人のうち、「イエス」と答えた人は17%にまで落ち込んだそうです。

同じことを聞いているはずなのに、およそ1/5にまで減少しました。

いかに、僕たちが過去の投資に意思決定を左右されやすいか、が顕著に表れています。

 

さらに、実験を進めていくと、この「無駄遣いをするべきではない」というルールは、幼児動物には当てはまらないことが分かったそうです。

つまり、僕たちが教育を受ける(外界と接する)ことで、築き上げられる価値観であることが分かります。

ある種の社会的特徴とでもいえるものです。

 

コンコルドの誤謬は色々な形で日々顔を出しています。

東京オリンピックの問題や築地移転問題、など国内のニュースを見ていても過去の投資に引きずられてしまっているのではないか、と心配になることもあります。

 

あと、コンコルドの誤謬が顕著に表れる例として、パチンコやスロットで大金をつぎ込んでしまい、引くに引けなくなった状況が挙げられます。

もうすでにお金をつぎ込んでしまったため、出る確率が少ない台でずっと粘ってしまう人は気を付けてください。

 

よく、考えて状況を冷静に見つめることがまず第一に必要なことだと思います。

 

文責:えび

 

参考文献

丹羽由一(2016)『カイジから経済を学べ』日本経済新聞出版社

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2015)『経済は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2014)『世界は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

このエントリーをはてなブックマークに追加
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。