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行動経済学ー予言の自己成就ー

こんにちは。えびです。

今回のテーマは、「予言の自己成就」です。

あまり聞いたことがない人もいるかもしれませんが、投資家や金融に携わっている人は良く聞くワードかもしれません。

別の呼び方で、「自己実現的投資」という言葉で聞いたことがある人もいるでしょう。

とても簡単な考えで僕たちが日常的にもよく使っている脳の省略的行動の一つなので、理解しやすいと思います。

 

予言の自己成就

 

予言の自己成就とは

 

多数の個人が自己の予測をもとに行動を取ることで、社会全体が予想した通りの結果を引き起こす

 

という現象です。

つまり簡単に言うと、

 

ある予言がされて、その予言を共有した多数の人々がその知識に即した行動を取ることで、予言されたことが現実になる

 

ということです。

例を挙げた方がわかりやすいので、僕が参考にした本の中に書かれていた物語を載せます。

 

ミリングヴィル氏の銀行

 

この物語は、経済学者のロバート・マートンが予言の自己成就を説明する際に使った物語です。

 

1932年のある水曜日の朝、カートライト・ミリングヴィルは職場に向かった。彼の勤め先はナショナルバンクで、彼はそこの頭取だった。銀行に着くと、出納窓口が水曜日にしてはかなり混んでいることに気が付いた。預金をする人びとが、週の中でも、給料をもらう日からまだ日があるのに押しかけるのは、異例だった。ミリングヴィルはその人たちが解雇されたのでなければいいとひそかに願いながら、いつもの頭取の仕事にかかった。ナショナル・バンクは折り紙つきの堅実な銀行だった。それは頭取から株主まで誰もが知っていた。しかし出納窓口の前に列をなしている人びとはそのことを知らなかった。それどころか、銀行は倒産寸前で、一刻も早く預金を引きだしてしまわなければ、手元には一銭も残らないだろうと思っていた。そこで貯金の払い戻しをしようと、列をなしていたわけだ。彼らが、思いこんだだけで行動に移していなければ、「それは間違いだ」で済んだ。しかし思い込みを行動に移したいまでは、彼らは頭取のミリングヴィルも株主も知らない事実を知っていた。彼らがその事実を知っていたのは、それを引き起こしたのが彼らであったからである。こうして彼らの予言が成就し、銀行は倒産した。

 

現実世界でも予言の自己成就は起こっている

 

こういった物語だけでなく、現実世界の金融市場でも予言の自己成就は、起こっています。

例えば、2007年のサブプライムローン問題の際に被害を受けた銀行や、日本でいうと地価があり得ない程高騰したバブル経済など。

また、他にも投資の世界でいうと、ある著名人がテレビや雑誌などのメディアで「○○社は優良企業だから、株価が近いうちに上昇するでしょう。」といったコメントをすると、実際にその企業の株価が上がったり。

映画なんかでもこれに似た効果が働いているかもしれません。

人気のある有名人が「○○って映画は、素晴らしい!絶対に大ヒットする!」とコメントを残すことで、多くの人が映画館に足を運び、結果として大ヒットになったりすることもあるかもしれません。

 

このような側面の他に先ほどの『ミリングヴィルの銀行』のように悲劇的な結果を生み出してしまうこともあります。

例えば、「○○社は倒産するかもしれない」といった噂が元で実際に倒産してしまったり。

また、クラスの美人な人でも「○○ちゃんって性格が悪いから、絶対彼氏ができないらしいのよ。」と誰かが噂をすることで、実際に異性の足が遠のき、彼氏ができない…なんてことも。

 

ピグマリオン効果

 

これも有名な実話の一つです。

あるサンフランシスコの小学校で2人の心理学者が、クラスの子供たちにテストをして、教師たちにこのテストで子供たちの潜在的知能が測れると説明していました。しかし、実際はテストと知能を測る指数には全く関係がなく、あらかじめランダムに選び出していた4人の生徒が潜在的知能が高い、と教師に偽って教えました。

すると、その4人の生徒の成績は本当に良くなったのです。

この実験結果の要因として、教師が自信の期待や親からの期待によって、4人の選ばれた子供に心血を注いで教えたから、と考えられています。

 

この話はピグマリオン効果の実験例としてもよく取り上げられます。

 

僕たちが、自分や他人の思い込みから多大な影響を受けていることが上記の例から、わかります。

それは、投資から教育まで幅広い分野で実際に見られる効果です。

 

一つのおすすめとして、予言の自己成就が投資の世界で起こりやすいのなら、皆さんが参考にするべき資料を変えることが挙げられます。

それは、読者数が多かったり、読者層が富裕層であったりといった雑誌やメディアを使うべきでしょう。

なぜなら、そこに書かれた情報を読んだ人が予言の自己成就的な行動を起こすことで、書かれた内容が現実のものなる可能性が高いからです。

 

また、自分の子供を成績のいい子やスポーツの得意な子に育てたいなら、子供に大物になれると信じさせることが重要です。

もちろん、それを周囲の人に伝えることも。

そうすることで、自分の自信と周囲の期待が、その子を本当に大物にすることを後押ししてくれるはずです。

 

これらの例は、成功させる要因の一部なので断言はできませんが、皆さんの生活が少しでもハッピーに近づくために役立つことを願っています。

 

文責:えび

 

参考文献

丹羽由一(2016)『カイジから経済を学べ』日本経済新聞出版社

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2015)『経済は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2014)『世界は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

 

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