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行動経済学ー保有効果ー

保有効果の実験パート2

 

今度は、先ほどのマグカップよりも保有効果が顕著に出る実験を考えてみます。

 

あなたは、サッカー好きな社会人3年目のスペイン人です。休日は息抜きにサッカーの試合観戦をしながら過ごす、なんて日もあります。

ある日インターネットを見ていると、あなたがファンであるサッカーチームがUEFAチャンピオンズリーグの決勝に進出したことを記念して、前売りでカテゴリー1の観戦チケットの購入権が抽選で当たるキャンペーンを見つけました。

あんたは、これはチャンスだと思い、キャンペーンに応募して胸を高鳴らせています。

 

ここで質問です。

A: キャンペーンで見事抽選に当たり、チケットを購入できました。そのチケットの価値はいくらだと思いますか?

B: 残念。キャンペーンに外れてしまいました。チケットの価値はいくらだと思いますか?

 

アンカリング効果を避けるため、チャンピオンズリーグ決勝のカテゴリー1のチケット価格がいくらかは、伏せておきます。

 

値段は決まりましたか?

この場合も先ほどと同様に、Aの場合の価格の方が高くついたのではないでしょうか。

今度の実験はデューク大学で行われた実験に似せたものです。

デューク大学の実験の場合、アメリカ人はバスケットが好きなこともあって、バスケットボール試合のプラチナチケットを想定しています。

 

デューク大学の実験結果では、次の通りになりました。

Aのチケットを購入できた学生が感じたチケットの価値は、約2400$。

Bのチケットを購入できなかった学生がチケットに対して抱いた価値は、約175$でした。

 

今回は10倍以上の差が生まれました。本当に不思議ですね……

 

保有効果が実際に応用されている例

 

保有効果おそるべし。

気を付けなければ、と思いますが、実は、日常生活の中でも僕たちは、保有効果を使ったセールス手法を体験しています。

いくつか具体例を出すと、

 

よくインターネットでも見られる、

「まずはお試しください!使ってみて、お気に召さなかった場合は、返品していただいても構いません。商品注文から30日以内であれば、無料で返品可能です。」

などの宣伝文句を使っているお試し商法

こういった場合、破損や故障、商品間違いなどがなければ、少し不満があっても返品しないことが多いのではないでしょうか。

この行動は経済的にみると、非合理ですが、多くの人は「まぁいいか。」となります。

販売する側は、一度保有して使ってもらうことで、保有効果が生じて消費者が手放しづらくなることを知っているのです。

 

他にも身近なものでいうと、無料配布のクーポン券などがあげられます。

割引クーポンやサイドメニュー無料のクーポンなんかをもらってしまうと、もったいない気がしてつい店に行ってしまいますよね。

僕もそうです…

これも、無料で得をする権利を与えることで、消費者にその権利を行使しないと損をするような心情にすることが狙いで使われるセールス手法です。

もちろん、消費者にお得にサービスを提供したい、という想いもあると思いますが。

 

少し専門的なことでいうと、株の売買などでも保有効果がみられます。

今回は割愛させていただきますが…

この記事を書いていたら、僕も保有効果の罠にはまらないように、気を付けようと思いました…(笑)

クーポンとかに弱いんですよね。

皆さんも気を付けて欲しいです。また、保有効果を上手く使って誰かに得な気持ちをさせることも出来るので、良い方向で活用して欲しいです!

 

ちなみに、先ほど例で出たチャンピオンズリーグ決勝のカテゴリー1のチケット相場は、約400ユーロ前後で、日本円にすると5万円前後です。

 

文責:えび

参考文献

丹羽由一(2016)『カイジから経済を学べ』日本経済新聞出版社

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2015)『経済は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

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