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行動経済学ーアンカリング効果

こんにちは。えびです。

今回は久しぶりに、行動経済学に関する記事を書こうと思います。

日常の中での不思議な行動や自分ですら”バカだなぁ”と思っちゃう行動について、知ることができるので、行動経済学は面白いです!

知っているといい教訓にもなります。

今回のテーマは、買い物好きな人ほどハマってしまうことが多い、アンカリング効果についてまとめます。

 

アンカリング効果 (anchoring effect)

 

アンカリング効果という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

聞いたことがない人でも、この効果の影響を受けている人がほとんどだと思います。

なぜなら、この効果を用いた手法は、インターネットやお店の中で溢れかえっているからです。

後々、具体例も紹介します。

 

アンカリング効果とは?

 

アンカリング効果は、その名の通り、船にあるアンカーに由来している言葉です。

これが意味しているのは、

 

最初に印象に残った数字や物が、その後の判断に影響する

 

ということです。

もっとわかりやすくいうと、自分の頭の中にある数字や物事に引っ張られて、それらを無視して考えることが出来なくなってしまう、という現象です。

面白いことに、アンカリング効果は、僕たち個々人が持つ先入観や知識だけでなく、全く関係のない偶然見かけた数字などにも現れます。

おそらく、具体的な実験や現実の例を見た方がわかりやすいと思うので、先に紹介します。

 

アンカリング効果の実験

 

アンカリング効果が確認された実験の中には、行動経済学を広めたダニエル・カーネマン (Daniel Kahneman) とエイモス・トヴェルスキー (Amos Tversky) が行ったものもあります。

最初にその実験を紹介します。

 

被験者の人の前に数字が書いてある、ルーレットのような回転盤を置きます。そして、回転盤を回して、どこか数字の上で針が止まります。

針が示した数字が「65」でした。

ここで、被験者に質問をします。

「アフリカ諸国の中で、国連に加盟している国は何%あると思いますか?」

被験者の人は、その時考えた数字を答えます。

同様に次の被験者の人にも、同じ手順を繰り返します。

今回針が指した数字は「10」でした。

また、先ほどと同じ質問をします……

 

という実験を繰り返していきます。

この実験の結果では、

 

針が「65」を指した時には、ほとんどの被験者が「およそ45%」

一方、「10」を指した時には、ほとんどの人が「およそ25%」

 

と回答したのです。

この実験では、針が指した「65」と「10」という数字がアンカーとなっています。

このように正確に答えを知っていなければ、僕たちは、何の脈絡もないただルーレットの針が止まっただけの数字に回答が影響されてしまうのです。

 

アンカリング効果の罠

 

次にアンカリング効果が、日常の中でよく使われている例を出します。

 

少し想像してみてください。

今あなたは、ショッピングをするために街中に出かけています。

目当てのものは、ほとんど買い終わり、後は新しい靴を買うだけです。

あなたが気に入っているブランドのショップの前に着きました。どうやらショップではセールをやっているようです。

店内を見ていると、欲しい靴が2つ見つかりました。どちらもデザインも機能もほぼ一緒です。

あなたなら、どちらの靴を買いますか?

 

A: 値札に7000円と書かれている靴

B: 値札に10000円の上から、赤字で7000円と書かれている靴

 

おそらく、ほとんどの人がBの靴を買ったと思います。

この例では、僕たちの頭の中で10000円がアンカーとなり、商品の選択に影響してきます。

 

このようなアンカリング効果の手法を上手く使っているのが、アウトレットストアです。

アウトレットストアの商品を僕たちが常に安く感じるのは、そのブランドが売られている通常の価格がアンカーとなり、意思決定に影響を及ぼすからです。

ついつい、アウトレットストアに行くと、安いと思って買い過ぎてしまうという人は、アンカリング効果の罠にはまっているかもしれません。

 

アンカリング効果の応用

 

上で見たように、僕たちの生活の中で、アンカリング効果は色々な場面で応用されています。

マーケティングのプロなんかも使っているので罠にはまって騙されないように、気を付けたいですね……

アンカリング効果が応用された有名な出来事を一つあげます。

それは、

 

マクドナルドのコーヒーが熱すぎるためやけどをしたという理由で、老婦人が損害賠償を受け取った

 

という話です。

この話を知っている人は多いと思います。

驚くべきは、その金額です。なんと290万ドル、日本円で約3億円です。

自分がコーヒーをこぼして怒って、3億円を勝ち取るなんて、恐ろしすぎるおばあちゃんです……

 

なんで、こんなに法外な金額になってしまったのか、という理由の中でアンカリング効果も一つの理由として考えられています。

この裁判で、老婦人側の弁護士が、マックのコーヒーは熱すぎるため「欠陥品」であるとして、マクドナルド全社の”売り上げの1週間分”を賠償するべきだと主張しました。

この一週間の売り上げが、アンカーとなり陪審員の正常な判断を狂わせた、と考えられています。

 

まとめ

 

僕たちは、自分たちの頭の中にある参照点(アンカー)によって、判断するときに大きな影響を受けています。

さらに、僕たちは、自分の先入観や知識だけではなく、偶然目にしたものなど、関連性も信憑性も全くないものでも参照点としてしまうことがあります。

自分だけでなく、相手が自分の参照点を変えることも可能なので、罠にはまらないように気を付ける必要があるでしょう。

 

アウトレットストアでの衝動買いや、前の人の意見につられて会議が進まない、などアンカリング効果が悪い方向に働いている時には、冷静になって自分のアンカーを下ろし直してください。

 

文責:えび

 

参考文献

丹羽由一(2016)『カイジから経済を学べ』日本経済新聞出版社

マッテオ・モッテルリーニ(Matteo Motterlini)(2015)『経済は感情で動く』(泉典子=訳)紀伊國屋書店

 

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